Gurnard Murmured

とりとめもない話、そのすべて

12月22日 PM9:13 リビング

ぱたぱたと鳴る

 


雨が、鳴る

 


夜9時を少し過ぎて

君が淹れた

ホットカフェオレが

ちょっと、

ぬるくなって

猫舌のぼくに

ちょうどいい温度になった

 


「来る」

 


宙ぶらりんの視線、

 


「奴が、来る」

 


読んでいた本を閉じる。

 

 

 

 

 

それは魔法かもしれない

誰かがかけた呪いだったかもしれない

パッと明るくなったかと思えば

赤や緑、金色に光る

にわとりたちが世界中に散らばって

ひとつ、ふたつと

たまごを産み落とし

中から

これまた赤や緑、金色に光る

にわとりたちが、

それで、それでね、

世界はね、

 

 

 

 

「まあ、落ち着きなよ」

 

 

 


「来るんだよ、奴が」

 

 

 


「それでもいいよ」

 

 

 

 

君はまた本を読み始めた

まるでなにも無かったみたいに

12月18日 PM4:23 公園にて

「そうやって、

いつもいつも

君はしょうがない奴だ」

 


って、君が言って

 


笑った

 


雪が降るだろう

あと少し、冷えたなら

 


手が届きそうな低い空

 


シーソーを

ぎったん、ばっこん、

ぎったん、ばっこん、

ぎったん、ばっこん。

 


僕の命と君の命で

ぎったん、ばっこん、

ぎったん、ばっこん、

ぎったん、ばっこん、

 


ぎっ

 


「あ」

 


「あ」

 


「あれ」

 


自販機のライトが

一瞬消えて、点いた

 


「幽霊かも」

 


「幽霊じゃないよ」

 


「わからないよ」

 


「君のことも

よくわからないよ」

 


シーソーが水平になる

 


「ほらね、だから

いつもいつも

君はしょうがない奴だ」

 


ぎったん、ばっこん、

ぎったん、ばっこん、

ぎったん、ばっこん。

 


僕の命と君の命で

 

ひとりごと集 008

・秋は、死んだ。

 

・秋がなくて寂しい思いをしながら秋を諦めていたら、12月に入ったところで秋のような空気を醸し出した週があった。山々の木々が赤い。そこらへんを歩いているだけで、あ、秋、いるいる。と思う。でも朝晩はすっかり寒いし来週からは雪マーク。暑くて毎日朦朧としながら過ごした夏さえ終わりが来たのだから、薄暗く降り積もる雪にうんざりする冬だって終わる、終わるのよ。ちゃんと終わるから、始まる前から落ち込まないで、自分よ。

 

・クリスマスが待ち遠しい。じんぐっべー じんぐっべーと毎日口ずさんでいる。上手くはないが料理は好きな方なので、クリスマスメニューをどうするか家の人間と会議をした。クリスマスは楽しい方がいい。誰かと過ごしてもいいし、1人で過ごしてもいい。ただし、誰かと過ごしても喧嘩をしてはいけない。クリスマスに喧嘩をしてはいけない。ルールはそれだけ。ね。

 

ひとりごと集 007

・ゑ?秋じゃない?

 

・終わらないと思っていた、今年の夏は。日本一暑い街に住んでいた日があった。そんな日がいくつもあって、気合を入れないと外に出られなかった。毎日意識が朦朧とするほどの暑さで、どうにかなってしまうんじゃないかと思っていたけどどうにもならなかった。酒だけはよく飲んだ。いつもこれは永遠に終わらないんだと錯覚するものの、いつだって何もかもちゃんと終わる、たぶんきっと人生もそう。

 

・1年前に怒涛の引っ越しをしたのだけれど、1ヶ月前に再び怒涛の引っ越しをした。

 

・ほうじ茶飲みすぎて茶ばみそう。黄ばむというか茶ばむ。

 

ぽえむ 017

8月がもう終わる頃

さんかく公園

君がギターを拾ってさ

ぽろりぽろりと奏でたよ

歪んだギターの情けない音

みたいな顔した君が

弾いてみるかなんて聞いてきて

あたし別にって思ったのに

つい乗せられてさ

細い指につられてさ

 


君は言う

これがFでこれがG

あたしがHとIはあるかと聞いて

あるわけないよと笑ってた

そうだねたしかに

HにIはなかったよね

 


猫拾うみたいにギター拾って

猫捨てるみたいにあたし捨てて

その弦切ってやればよかった

 


もう聞こえない

もう聞こえない

もう聞こえないよう

耳塞いで

 


もう会わない

もう会わない

もう会わないよう

あの公園は通らない

ひとりごと集 006

・気がつけば春、全然春、埋まるかと思うほど降り積もった雪は消えてしまった。新学期の来る4月、ぼくは本当にこの時期が嫌いで嫌いで吐き気を催すほど嫌いだったのに、雪国に来てからはいつしか待望むようになっている。思い出は気付いた頃には遠くなるから安心して今を生きればいいんだなあ

 

・桜を見に行きました、とてもきれいですごいなあと思いました(小1)

 

・先日酩酊した。ストレス解消に狙って酩酊した。嘘をついた、あんなに酔うつもりではなかったけど変なスイッチが入ってしまい、家の人間をツカイパシリにしたりしていた。ぼくは酒を飲むとき好きなアーチストのライブを見てるときがいっちゃん家飲みがたのしい。ただ音楽を流すだけじゃなくてライブがいい、ライブ映像と酒の相性イズベリベリパーフェクトサケノサカナ。どこがどういいか、適当にしゃべるのも大事、大丈夫誰も覚えてないから。

 

・ぼくが一人でしていることに関しては本当にしこしこというなかなか人に言えない擬音がよく似合うと思う。一人で料理を作り続けるときもぽえむを書くときも、ぼくはぼくをただ慰めているような、そんな気持ちがどこかにあるのでこれはしこしこなのです、なにかを頑張ることで自分が慰められる、たぶんそれはずっとそうだったので

 

・「なんでも買ってやると言うとどうしてペットボトルのお茶を選ぶんだ、お茶なら家にいくらでもあるだろう」と言われた、家のお茶は家のお茶の味がするしサントリーの烏龍茶はサントリーの烏龍茶の味なんだわかってくれ

ぽえむ 016

夜更けにひとり

歩く人の街

静けさから聞こえる

彼らが眠る息遣い

 


眠れない夜

来たはずの明日に

僕はまだ行けぬ

このままどこまでも

今日が続くのなら

今を捨て去って

先の日に思いを巡らせ

 


愛した日があった

愛せなかった日もまた あった

堂々巡りの毎日に

想いのインクを滲ませた

 


夏が来る前に

手を繋いだ

秋は旅に出よう

君はけらけら笑った

 


夜更けの歌

小さく口ずさみ歩く

僕はまだ行けぬ

このままどこへにも

行けぬまま歌う

消し去りたい過去も

記憶の中で巻くとぐろ

 


愛した日があった

愛せなかった日にはさ 泣いて

果たしたかった約束は

ただ今も僕を呪って

 


愛した日があった

愛せなかった日もまた あった

眠る君の膨らむ胸

止まれと願う日もあった