ぽえむ 016
夜更けにひとり
歩く人の街
静けさから聞こえる
彼らが眠る息遣い
眠れない夜
来たはずの明日に
僕はまだ行けぬ
このままどこまでも
今日が続くのなら
今を捨て去って
先の日に思いを巡らせ
愛した日があった
愛せなかった日もまた あった
堂々巡りの毎日に
想いのインクを滲ませた
夏が来る前に
手を繋いだ
秋は旅に出よう
君はけらけら笑った
夜更けの歌
小さく口ずさみ歩く
僕はまだ行けぬ
このままどこへにも
行けぬまま歌う
消し去りたい過去も
記憶の中で巻くとぐろ
愛した日があった
愛せなかった日にはさ 泣いて
果たしたかった約束は
ただ今も僕を呪って
愛した日があった
愛せなかった日もまた あった
眠る君の膨らむ胸
止まれと願う日もあった