Gurnard Murmured

とりとめもない話、そのすべて

ぽえむ 015

手のひらの中 この僥倖を

桜の花びら包むみたいに

そっと握る

 


なにもかもが

こぼれ落ちてしまったような

そんな気でいた 今まで

もう戻れないところまで来たのだと

何度も思って 何度も

 


春風が撫でるように

僕の鼻先をくすぐる君と

目が合う 微笑う

それだけが愛だと知った

 


喉の奥が苦い雨の日に

蹲ってしまう夜更けの晩に

想うことでまた明日が来る

何度も来る 何度も

 


花びらのキーホルダーが

いつか褪せてしまう日にも

振り返る記憶は

あの日の桜色でありますように

 


手のひらの中 この僥倖を

桜の花びら包むみたいに

そっと握る

それだけが愛だと知った

ぽえむ 014

私がゆうれいになったら

あなたの頬を撫でる風を

いつでも暖かいものにする

凍えることのないように

 


私がゆうれいになったら

淹れたコーヒーの香りを

部屋中に広げてあげる

あなただけのちいさなカフェ

 


私がゆうれいになったら

突然降り出した雨の日に

ぽつんと1本の傘を置いてあげる

あなたは気付かないまま走り去るとしても

 


そうして365日

あなたが悲しくないように

生きることに怯えないように

ささやかな幸運を

ぽとりぽとりと

あなたのそばに落としてゆく

 


私がゆうれいになったら

ぽえむ 013

散った街路樹に
目をやる人もなく
ざわめく街は
メリークリスマス
どうも 今年も
誰かが来るとか
来ないとか
 
鼻をかすめる
サングリアの香り
未だに僕には重たくて
 
神様が生まれた日 おめでとう
祈りが届くのなら どうか
花の絵を描いて死んでいった友に
温かいスープを 一匙のスープを
 
散った街路樹に
舞い散る雪が
溶け込み消える
メリークリスマス
どうも 今年も
やるせない日さ
どうにもならない日さ
 
結んだ口は
ほころぶこともなく
在りし日の記憶をなぞる
 
神様が生まれた日 おめでとう
祈りが届くなら どうか
夜を超えられなかった子供達に
温かい毛布を 祝福の歌を
 
神様が生まれた日 おめでとう
祈りが届くのなら どうか
花の絵を描いて死んでいった友に
夜を超えられなかった子供達に
今日の日を上手く笑えない僕に
ひとひらの葉を 言葉として
おしえてほしい 街路樹の傍らで
 
 

ひとりごと集 005

・雪国に住んでいるのだけど今までの家では石油ストーブやファンヒーターを使うことを禁じられるというサディスティックスタイルの貸主だったので冬はエアコンを24時間フル稼働させ大雪が降る日も氷点下の日もそれで凌いでいた。この度引越しをして新しい大家さんにそれらを使うことを「気をつけてもらえれば全然使って良いですよ」というあたたかい言葉をかけて頂いたのでウキウキと購入し12月1日から使い始めた。すごく暖かい。暖かいってすごい。何がすごいって寒くない。寒くないってすごい。人類が火を使って暖をとることを覚えた時のよろこび、安堵感に近いものを味わっている。暖かさは文明。暖かいだけでものすごく贅沢をしているような罪悪感さえあるのだけど、こんな僕でも健康で文化的な最低限度の生活を送る権利は生まれた時に頂いてると思うのでこの冬はぬくぬくさせてもらう。もしかしたら次の家ではまた禁じられるかもしれないから少しでもこの幸せを味わいたいんだ!!!!

 

・30歳、ぬいぐるみに囲まれて眠る。子供の頃にきんこんこん(金魚のぬいぐるみ)とキティちゃん(のぬいぐるみ)と別れて以来、久しぶりにぬいぐるみを愛でる夜を過ごしている。布団を敷いて、枕の右にお文具さんとぷりんさん、左にぶりぶりざえもんを置いて、家にいる人間の顔面にくまきち(ヨッシースタンプのくま、もちもちしている)とコタロウ(ふくふくにゃんこの茶トラ、丸っこい)をぐりぐりと押し付けるなどして気が済んだら寝る態勢に入る。ぬいぐるみに囲まれて、そしてぬいぐるみを思い切り抱きしめているだけで夜に感じるあれやこれが70%減する、気がする(当社比)家にいる人間も「くまきち〜♡」「コタロウ〜♡」などと言いながら抱きしめて仕事のストレスを癒している。ぬいぐるみは幼き少年少女たちだけのものではない。今を生きる大人にこそぬいぐるみを。闘う僕らにぬいぐるみを。

 

・大根を煮るのが大好きである。大根を煮るときはちょっと張り切って煮る。大根は厚すぎず薄すぎない、食べた時に食べ応えのあるちょうどいい厚さに切る。皮を剥くときは「えっ、ピーラーは使わないんですね?」とインタビューされて「はい(笑)ピーラーを使うと逆に指の皮を剥いて怪我してしまうんですよ(笑)」と答える妄想は欠かさない。「それに、大根の皮はすこし厚く剥いたほうが味が染みますからね」とどこかで料理が上手い人が言ってたことの受け売りを付け足すのも忘れずに。鍋に大根を入れて水から茹でる。これは下茹で。生米を入れてもいいし入れなくてもいい。吹きこぼれない程度の火加減で30分くらい茹でる。で、茹でこぼして、肉なり魚なりを煮ている別の鍋に大根を足して、再びぐつぐつやる。いくらかぐつぐつしたら、肉やら魚やらから出た出汁が大根に染みるまで待つ。これで食べたらじゅわ〜んの大根ができる。じゅわ〜んだけを楽しみにいつも時間をかけて大根を煮る。1時間以上かかるけれど、じゅわ〜んのよろこびには変え難い。大根の美味しい季節になりましたね。

ひとりごと集 004

・引っ越すかもしれないし引っ越さないかもしれなくて、引っ越さなくて済んだと書いた直後に引っ越すことになって引っ越した。一生家が決まらず家なき子になるかと怯えて暮らしていたけれど、なんとか家があったので無事家あり子です。

 

・家が変わってからいろいろ挑戦したいことを挑戦している。個人的に大挑戦だったのは動画を取って編集して遊ぶことで、いくつかやって家族や友人に見せて遊んでいる。思ったより手間もかからず楽しいので趣味になったらいいなあ。

 

・今日友人と話しながらネットのタロット占いをやったら向いてる職業にインフルエンサーと書いてあったのでユーチューバーになろうかな、がはは!

 

・酒が飲みたい。

 

・寒くなってきましたのでみなさま積極的にご自愛ください。

ぽえむ 012

長いまつげの裏側に

咲いた秋桜で占う

許せなかった夜も

越えられない痛い日も

愛してたよ ほんとはずっと

 


続いてく 続いてく

尽きることなく 終わるまで

それがわかっているから

愛してたよ ほんとはずっと

 


星の音が響く

月は歌う 冷たい夜でさえ

太陽が僕らを祝福する

祈りは僕らの中に

 


I pray

I pray

I pray

 

 

I pray

ひとりごと集 003

・引っ越すかも知れないし引っ越さないかもしれない状況だった。引っ越さずに済んだのでいいのか悪いのかはさておきまたしばらくのんのんと生きていくことにする。

 

・しこたまフルーツを食べた日があった。桃、梨、巨峰、シャインマスカットを夕飯にした。アラブの国王とか石油王になった気分が味わえるのでライフハックとしておすすめしたい。なんのライフハックかはよくわからない。

 

・100円ショップで買うものがあるなあ、と思っていたのに100円ショップに行った途端なにが必要だったか忘れるやつをやった。100円ショップには買うべきものを忘却させる何かが蔓延している。帰宅して玄関を開けた瞬間に思い出すので、なんかこう、かぼちゃを馬車にするとかねずみを馬にするとか、そういった類の魔法がかかっている。

 

イカになったりインクをぶちまけたりするゲームの体験版をDLしてプレイした。昔死ぬほどやっていたけど特に上手いわけでもないので、他のプレイヤーが達人の動きをしていて呆然としてしまった。小学6年生の野球少年がプロ野球に突然駆り出されたみたいな。たのしいけど長年プレイしてる人と同じ土俵に上がっていいものか躊躇う部分があるので購入を見送っている。

 

太宰治人間失格が好きな人は西村俊彦さんの朗読を聴いてみてほしい。ものすごくものすごい。寝る前に聞くと興奮したまま朝になるので注意していただいて。